家じゅうのコンセント配置ガイド: 部屋別の必要口数と高さ、配線と安全対策

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コンセントはたいてい目立たない。足りなくなったり、妙な場所にしかなかったりする瞬間までは。リフォームが終わり、家具を入れたら、必要な差し込み口がタンスの裏に消えていた——誰もが一度は経験する展開だ。これを避ける確実な道はひとつ、前もって計画することだ。

延長コードが顔を出したら、どこかで設計ミス

床を横切る延長コードが増え始めたら、それはレイアウトの読み違えの初期症状。配線は縦横の直線で通すのが原則で、壁に穴をあける作業も安全にできる。ジグザグや場当たりの対応は見栄えを損ねるだけでなく、システム自体を脆くする。

実際に必要なコンセントの数

キッチンは電力需要の中心地——家電が最も集まる場所だ。最低ラインでも、冷蔵庫、コンロ、オーブン、食洗機、電子レンジ、レンジフード、電気ケトル、コーヒーメーカーで8口。そこにトースター、ブレンダー、冷凍庫を足せば、12〜15口が現実的になる。コンロ(クックトップ)は分電盤からの専用回路が電気工事士の推奨。カウンター上の小型家電には、バックガードに4〜5口のコンセントブロックを設けるのが使いやすい。少し多めでも、余裕は後悔の種にならない。

リビングはエンタメの拠点

テレビ、ゲーム機、ルーター、スピーカー、充電器——どれも電源が必要だ。テレビ周りには標準のコンセントだけでなく、ネットワークジャックも計画しておきたい。配線は壁内のダクトに通しておけば視界がすっきりする。見落としがちだが効くのは、ソファ脇の一口。床から約30cm、ひじ掛けの少し下に差し込み口があると、ガジェットやフロアライトに毎日手が伸びる。

寝室は、まず快適さ

理想は、ベッドの両側に2口ずつ。スマホ、読書灯、ヘッドホン、タブレット——手の届く範囲で充電できると、夜も朝もストレスがない。ベッドは先に選んでおくのが無難。ヘッドボードがマットレスより幅広いことが多く、コンセントがその真後ろに隠れてしまうことがあるからだ。

浴室は安全最優先

ここは2口で足りる——ドライヤー用と電動歯ブラシ用だ。洗濯機の電源は、必要なときにすぐ抜ける位置に。必須条件はIP44の防水・防塵性能と、分電盤のRCD(漏電遮断器)。これが感電を防ぐ切り札になる。

玄関・廊下は小さくても要件多め

最低でも2口を確保したい——掃除機と靴用ドライヤーのために。ロボット掃除機を使うなら、充電スポットを用意しておく。クローゼット内に収める人も少なくない。

ワークデスクは、先回りが正解

デスク下には最低3口(本体、モニター、予備)。デスク上にはノートPCとスマホ充電用にさらに2口。安定した接続を望むなら、ネットワークジャックも組み込む。使い方が固まっていれば配線も迷わない。

バルコニーは、忘れがちな便利ディテール

バルコニー(ロッジア)をホームオフィスやくつろぎスペースにするなら、2〜3口を計画。冬はヒーター、夏は扇風機——その用意があるだけで使い勝手がぐっと上がる。

効く技術ディテール

高さの基準

標準:

  • コンセント — 床から30cm
  • スイッチ — 90cm

キッチンでは、カウンター上に10〜15cmほど上げる。採寸は常にグループの中心までで、端ではない。

隠ぺい配線

壁内の溝は縦横の直線で。施工後は壁面を撮影して記録しておくと、後日の穴あけ作業で助けになる。

ケーブルの選び方

  • 2.5 mm²は標準的なコンセントに適する。
  • 4〜6 mm²は大電力機器向け。
  • ケーブル品質の妥協は過熱や火災のリスクにつながる。

プロの電気工事士のアドバイス

  • 部屋ごとにコンセント配置図から着手する。
  • 高さと位置は家具配置を前提に決める。
  • 接地(アース)付きコンセントを選ぶ。
  • RCDとブレーカーを設置する。
  • 配線は縦方向のみでルーティングする。
  • 隠せない箇所はケーブルダクトを使う。
  • 施工後の配線は必ず写真で記録する。
  • 引き渡し時、すべての差し込み口をテストする。
  • アクセスが悪い位置への設置は避ける。