息切れの原因と危険信号、受診の目安と向き合い方

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息切れ――空気が足りないような、じわりとした違和感――は、多くの人にとって覚えのある感覚だ。ふだんの呼吸は静かに血中の酸素を適正に保っているが、体はときおり呼吸を速めて「注意して」と合図を送る。これは聞き流さないに越したことはない。

息切れはなぜ起こるのか

酸素が不足しはじめると、最初に反応するのは肺と心臓だ。両者からのシグナルが脳に伝わり、呼吸中枢が働いて呼吸数を上げる。酸素が安定すれば、呼吸は再び落ち着く。ただし、原因がいつも運動とは限らない。病気や潜んだ不調が引き金になることもある。

息切れが“ふつう”の範囲にあるとき

  • 身体的な負荷。働く筋肉はより多くの酸素を必要とする。運動後に呼吸が速くなるのは自然な反応だ。息切れの出方があまりに早いなら、体力の現状を見直す合図になる。
  • 感情やストレス。不安や恐れはアドレナリンを押し上げ、呼吸を加速させて呼吸筋を総動員させる。
  • かぜや鼻づまり。鼻閉やせきが空気の通りを妨げ、一時的に呼吸が速くなる。
  • 長時間の座位。前かがみの姿勢は肺が広がる余地を狭め、ちょっとした動きでも息が上がりやすい。
  • 貧血。鉄不足でヘモグロビンが低下し、酸素を運ぶ力が落ちるため、体は呼吸数を増やして補おうとする。
  • 体重過多。余分な負荷が筋肉や臓器にかかり、呼吸がしにくくなる。内臓脂肪が肺や心臓を圧迫する場合もある。
  • 換気の悪い空間。酸素の少ない空気では、やはり呼吸が速まりやすい。

息切れが危険信号になるとき

次のような症状があれば、ためらわず受診したい。

  • 息が詰まるような感覚
  • 胸の痛みや圧迫感
  • 冷や汗や脱力感
  • 突然の息切れの発作
  • 明らかな理由のない急な頻呼吸
  • 深く息を吸えない
  • 高熱を伴う息切れ

これらは、ぜんそく、心筋梗塞、肺塞栓、気胸、心不全、肺炎、甲状腺の疾患、肺がんなど、重大な病気を示す場合がある。

気になる息切れにどう向き合うか

受診は先延ばしにしないこと。専門医が肺と心臓の状態を見極め、血液検査からX線、心電図まで必要な検査を組み合わせて評価してくれる。原因が単純なこともある。貧血、体重過多、運動不足といった要因だ。その場合は、食事や運動、生活リズムについて、その人に合った助言が返ってくるはずだ。

大切なのは、突然の息切れや悪化を“いつものこと”と片づけないこと。こうした場面では、用心深さが健康も命も守る。