03:50 04-12-2025

タランティーノ『キル・ビル』アニメ前日譚示唆『Yuki’s Revenge』が導いた新構想に業界期待

ロサンゼルス特別上映の短編『Yuki’s Revenge』を機に、タランティーノが『キル・ビル』アニメ前日譚を示唆。Unreal Engine活用の試行や、ビル誕生譚・師匠パイ・メイらへの言及まで網羅。2025年11月公開の短編を起点に、フォートナイトのモデルも試用。制作時間の確保は未定ながら、サーガ再訪へ期待が高まる

クエンティン・タランティーノが、またしてもファンの好奇心をくすぐった。ロサンゼルスで行われた新作短編『Yuki’s Revenge』の特別上映で、今や古典となった『キル・ビル』二部作の世界に、まったく異なるかたちで戻る可能性をほのめかしたのだ。短編の制作過程で、アンリアル・エンジンや『フォートナイト』のビジュアルモデルを使って試行を重ねるうち、アニメによる前日譚という発想に惹かれていったという。

『Yuki’s Revenge』は、物語が過密になることを恐れてかつてカットした一章を復元したもの。あれから約20年、彼は従来のカメラではなくデジタルの道具で再訪した。2025年11月に公開されたこの短編をきっかけに、ビルの物語をどこまで続けるかを本気で検討しているようだ。誕生譚を描くなら、アニメーションへの飛躍はむしろ自然に思えるし、この方向性は彼の作家性とも相性がよさそうだ。

タランティーノは、当時の撮影段階からすでに、観客がスクリーンで出会ったビルがどのように形づくられたのか、その過去を設計していたと語っている。そこにはエステバン・ビハイオ、パイ・メイ、服部半蔵という三人の師の役割も含まれていた。こうした前日譚の構想には魅力を感じている一方で、実現のための時間が取れるかはわからないとも示唆した。

カルト的人気を誇るサーガの“帰還”に向けて、業界内ではすでに期待が高まりつつある。型にはまらない手つきで、監督が再び驚きを投げ込む準備を整えているようにも見える。