12:58 27-11-2025

トルコの家はなぜ散らからない?清潔文化と毎日の掃除術、来客を迎える家庭の知恵、窓磨きやカーペット手入れまで

トルコの家庭はなぜ常に清潔なのか。女性たちが受け継ぐ掃除の段取り、gırgırモップの活用、カーペットや窓・浴室・バルコニー・台所の徹底手入れまで、来客を迎える家事の文化を解説。上から下へほこりを払う日課、家具を動かす床洗い、週ごとのテキスタイル洗濯、季節で替えるカーペット、10日に一度の窓磨きまで詳述。

トルコの家が散らかっていることはめったにない——それは単なる生活習慣ではなく、文化として根づいている。多くの女性にとって掃除は義務ではなく、家族を気遣い、居心地を整える行為だ。清潔への敬意は代々受け継がれ、その手際や工夫は、訪れた人の記憶に残るほど印象的だ。

伝統であり、日常でもある掃除

歴史的に、トルコでは女性が家庭を切り盛りする時間が長かった。この流れは今も消えていない。働く女性であっても掃除には特別な意識を向ける人が多い。家にはブラシやモップ、洗剤がずらりとそろい、カーペット用の“gırgır”モップは、多くの家庭でほぼ毎日のように登場する。

段取りは早く、体が覚えた動きが次々と続く。念入りな掃除でも数時間で仕上がり、家はいつでも来客を迎えられる空気を保つ。無駄がないのに行き届いている、そのリズムが実に気持ちいい。

ほこりと毎日向き合う儀式

ほこりにはとりわけ厳しい。作業は上から下へ——照明、カーテンレール、エアコン、家具の側面や水平面へと進む。鏡やカウンターは磨き上げ、ランプシェードは少なくとも月に一度は洗う。曇ったガラスは好まれず、室内に入った瞬間、保たれた基準がはっきり伝わる。

床とカーペット——清潔は当たり前

床は徹底して洗う。掃除のたびに家具を動かし、冷蔵庫やソファのような大物も例外ではない。カーペットは家中に敷かれ、手入れの作法も厳格だ。一般的な世帯でも冬用と夏用の二組を持つことが多く、季節の終わりには洗うかクリーニングへ。シーズン中も少なくとも月に一度はきれいにする。地方では、川で洗う昔ながらの方法が今も受け継がれている。

家具とテキスタイルの守り方

布張りの家具は丁寧に保護され、ソファにはカバーがかけられることが多い。洗濯機から便座まで、家電や設備を覆って守る家庭もある。集まりの予定があれば、汚れそうなもの一式をシーツで覆うことも。布類は週ごとに洗うのがほぼ当たり前で、その積み重ねが部屋の空気に新鮮さを宿す。

ガラスは光っていて当たり前

窓はトルコ流の完璧主義が表れやすい場所だ。少なくとも十日に一度は磨き、時間があれば枠を拭き、カーテンを替え、ガラスをさっと“リフレッシュ”する。磨かれた窓は家と客への敬意の表明で、言葉より雄弁だ。

バスルームは毎日の関心事

トイレや浴室は別世界。水垢や水滴、石けんの跡は見つけ次第すぐ対処する。蛇口だけでなく配管まで手を入れる人も少なくない。衛生陶器に残る痕跡は恥に近い感覚があり、日々の輝きを欠かさない。

バルコニーは物置ではなく、もう一つの居間

トルコのバルコニーは朝食やお茶、もてなしの場。古い物や箱の置き場にはしない。掃除は毎日、夏はとりわけ念入りだ。1階では水圧の強いホースで一気に流し、歩道を洗うようにほこりを払う光景も見られる。

台所は家の心臓部

台所の掃除は“ここだけ”で終わらない。棚は中身を出して拭き上げ、食器は艶が出るまで磨く。備蓄も見直し、穀物を整理して不要なものは手放し、虫よけに月桂樹の葉を置くこともある。出番の少ない道具でさえ、常に清らかであるべき——そんな姿勢がトルコの家事観の核にある。清潔は思いやり、その手間は家族だけでなく、敷居をまたぐすべての人に向けられている。