04:24 27-11-2025

マルチメータでケーブル断線位置を特定:スイッチング電源と自作プローブで行う簡単ゼロコスト・非破壊探査法

オートバイや家電の配線断線を、手持ちのマルチメータとスイッチング電源で非破壊・ゼロコスト検出。自作プローブの作り方、設定、測定手順、判定ポイントまで具体的に解説。巻いた電線コイルをケーブルに沿わせ、190〜200mVの変化を追って断点を特定。値が急に半減する区間が目印。外観で分からない断線やハーネスにも有効。

配線が繰り返し曲がる装置——オートバイ、家電、携帯工具など——では、断線はよくある悩みだ。リードを丸ごと交換できない場面も多いし、プロ用のケーブルトレーサーは値が張る。だからこそ、手早く、しかもゼロコストで断点を突き止める手段を持っておくと安心だ。

普通のマルチメータで十分

専用機材は不要だ。多くの人がすでに持っているマルチメータでこと足りる。もっともベーシックな機種でも、この探査に必要な要素はそろっている。

探査用プローブの準備

マルチメータのマイナス側リードを外し、短い電線を1本取り付ける。細いより線でも、剥き出しの導線でも構わない。接触が確実になるようにしっかり固定し、先端に小さなキャップを被せると扱いやすい。これで自作の探索プローブは完成だ。

マルチメータの設定

レンジを交流電圧に切り替える。問題の配線にはスイッチング電源を接続する。例としては、12Vの電動ドライバー用充電器が使われている。

探し方の流れ

取り付けた電線で2回ほど巻いて小さなコイルを作る。それを指で軽くつまみ、調べたいケーブルに沿って滑らせる。指で触れているとノイズが減り、表示が安定する。電源側に近い位置では、マルチメータはおおむね190〜200mVを示す。コイルをケーブルに沿って移動させながら、値の変化に注目する。断線箇所では電圧がほぼ半分まで急に落ちる——しかもごく短い区間で起きる。

この方法が効く理由

スイッチング電源が弱い交流の電界を生み、その変化を巻いた電線が拾う。断線部では信号が変化し、マルチメータには電圧低下として現れる。これにより、断点の位置をかなりの精度で絞り込める。

現場での使いどころ

外観からは分からないのに、同じ外装の中の1本だけが切れている——そんな状況でこの小技は役に立つ。ハーネス全体の交換に時間がかかる配線束でも扱いやすい。実際の修理現場でも、これに助けられたという場面は一度や二度ではない。覚えておくと心強い。